2008年12月29日

安藤美姫は強くなる

2003 年 12 月、前日の SP で 2 位につけた安藤選手が
FS では 4 回転に成功して逆転の初優勝を飾った長野ビッグハットが
今年の全日本選手権の舞台となった。

先日のグランプリファイナルでは 4 回転サルコウに挑み見事に着氷するも
回転不足をとられ得点は伸びなかったが、
確かな手応えを掴んで臨んだ今大会であった。
27 日の練習ではジャンプの調子も良く、想い入れの深い長野の地で
5 年前の逆転優勝の再現を期待したファンも多かったはずだ。
しかし、
FS 、第 4 グループの 6 分間練習でまたしても不運が安藤選手を襲った。
各選手が最終チェックをする緊迫した空気のなか、
村主選手の進路上を安藤選手が後ろ向きに滑走していた。
とっさの出来事に避けられなかったのか、
そのまま衝突して両者とも激しく転倒した。
村主選手は瞬間の痛みだけですんだようだが、
安藤選手は怪我を負ったのか、脚をかばうようにしながら
明らかに狼狽したようすだった。
その後、ジャンプを試みるが脚に不安を抱えた状態で、
練習時間を少し残し、早めにリンクから引き上げたのだった。

不意を襲った衝突事故は、
この大会に向けて集中してきた心にも傷を負わせた。
村主選手にも、安藤選手にも。

安藤選手の演技は、終盤 1 つ転倒こそあったが、
大きく崩れることのない気迫に満ちたもので、
何が何でも次の舞台に繋いでみせるという強い想いが感じられた。
そして、 見事に滑りきった。
TV を観ながら私は泣いた。
あまりの出来事を目の当たりにして、
何故こうも安藤選手には悲劇がつきまとうのかと、ただただ嘆いた。
だが、いつもなら涙が尾をひいて、
あのアクシデントさえなければ、4 回転を成功させて
優勝できたかもしれないと悔しい想いが頭を支配していたであろう私が、
まったく違う感覚を覚えたのだ。

試合直後のインタビューで
「不安な気持ちで臨んでしまった」
と反省の言葉を口にしていた。
試合直前に思いもよらぬ怪我を負っても、左右されない精神力で
FS に向かいたかった、と安藤選手本人は思っているようだが、
痛みと不安のなかで大崩れすることなく、よくぞ滑りきったと思う。
また、Sportsnavi のコラムで
神様からご褒美がもらえるとしたらという問いに、
「自分を信じる気持ちを持たせて欲しい」と応えているのを目にした。
自分を信じる強い気持ち。
アスリートとしての大切なものが今はまだ備わっていない、
あるいは、「自分を信じる」ことができない、というのだ。
できないもの、足りないものに、はっきりと気づいているのであれば、
精神的な強さにもまだまだ伸びしろがあると云えるのではないか。

トリノオリンピックでの惨敗は
「しーちゃんと同じやつ獲りたい」の想いを心に刻み、
06 全日本では、肩の痛みに耐えぬいたからこそ
翌年の世界選手権で優勝することができた。
今年 3 月世界選手権での途中棄権からは、
故障と向き合ったからこそのスケートへの強い想いで這い上がってきた。
今回の全日本も右脚の痛みと闘いながらも、
結果 3 位を死守して、来年 LA での世界選手権の切符を手に入れた。

安藤選手はどんな状況に追い込まれても、必ず何かを掴む。
ひとつひとつ、本当に不器用なまでにゆっくりとした歩みではあるが、
確実に大きく成長し続けている。
どん底からリンクへと何度も何度も帰ってきてくれるのだ。
心を揺さぶる鮮やかな復活劇となって。


私は確信している。


安藤選手はこれからもっと強くなる。



posted by マキティ at 00:15| Comment(10) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月21日

安藤美姫の支えになりたい

21 歳になった 18 日の深夜(正確には 19 日 00:10 〜)
「すぽると」で「安藤美姫 再び輝くために」が放送された。

インタビュー中、スケートに対して
「好きなだけではやっていけない。好きなだけでやっていたいけど」
という言葉があった。
美貌と才能に恵まれ、フィギュアスケートの世界で
今日まで生きてきた選手の正直な、しかしながら考えさせられる言葉だった。

好きなことで、好きな道で自分の存在価値を求め、結果、
それを実感できれば、これほど幸せなことはないであろう。
だが、ただ好きなだけでは誰も、何も成し得ないことは
頭の中で理解はできていても、人がそのことを忘れてしまっているのも事実だ。

憧憬と羨望のまなざしを集めたその裏側には、
それと引き換えに失わざるを得なかったものも、
人知れず涙した苦悩も、たゆまぬ努力も、
期待されるが故の計り知れない重圧があることも、決して忘れてはならない。

某掲示板で、こんな書き込みがあった。
「重荷を軽くしてあげたい。
 日本の片隅でこじんまりと応援している気持ちが何かしらの力になれば」
慎ましい想いが私の胸を打った。

そもそもファンというのは、熱心な支持者や愛好者、fanatic の短縮形をいう。
応援するあまり熱狂的、狂信的なまでに頭に血が上り、
ストーカーまがいな行動をとる者は問題外として
選手の心情や状況を考えもしないでサインを求めたり、
記念撮影を強要したりなど、無神経なファンが少なからずいるようだ。
また愛情も度が過ぎると、ああして欲しい、こうして欲しいと意見を押しつけたり、
自分の理想の型に、はめようとさえする。
その結果、掲示板などで、それぞれの見解の相違から
選手の気持ちそっちのけの言い争いにまで発展してしまったりもする。
期待をしてしまう気持ちは判らなくもないが、
どんな時でも選手の気持ち以上に大切なものはないのだ。

「好きなだけではやっていけない」
期待され結果を求められる選手の重圧を少しでも軽減できるよう、
励みとなって、それを力に変えられるよう、応援する側は心がけなくてはならない。

日本の片隅で、安藤選手のために支えになりたいという慎ましくも
衷心からの想いこそが本来のファンのあるべき姿だと思う。


ファンが、応援という形で間接的に選手を支えているのだとすれば、
選手の身近で、直接支えている方達もいる。
選手のご家族やコーチ、トレーナーの存在はいうまでもなく、
練習場となるリンクのスタッフの方々、関係企業など、枚挙に暇がない。
そして、あまりにも当たり前すぎて見過ごされがちなのが、
スケート靴の職人の方達である。

スポーツ関係の仕事をしている知人によると、
12 月 25 日に発売される「Number 719 号」に特別企画として
別冊「もうひとつの物語り」が入るそうだ。
記事のテーマは「安藤美姫を支える力」というもので、
スケート靴に関する内容ということだが、
別冊の表紙と巻頭記事には安藤選手の写真が掲載されるという。
全日本選手権開催日でもある 25 日を楽しみに待ちたいと思う。



ファンとして、
選手を支えたいという想いは決して傲慢であってはならない。
このことを忘れないようにしよう。

「好きなだけではやっていけない」
例えそうであっても、
「好きだからやっていける」そんな安藤選手でいられるために。


posted by マキティ at 00:03| Comment(16) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月18日

Miki’s 21st BIRTHDAY

sagittaius.jpg          

氷上に咲いた一輪の花は
眩しい陽の光を 優しく包む雨を
揺るぎなく根ざす力に変えて
観る者の心を魅惑の世界へといざなう

香りたつ花びらが舞い上がるように
煌めく氷を散りばめながら
銀盤に魂の叫びを刻み続ける

可憐な花が誇らしげに満開を告げるときまで
もしも暗闇ならば その道を照らす星達となって
涙も微笑みも分かち合いたい















posted by マキティ at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月14日

4 回転に挑んだ安藤美姫に捧ぐ

手を叩いて自らを祝福した。
美しいスケーターは控えめなガッツポーズをした後、
両手で顔を覆って喜びに目を潤ませた。


冒頭のジャンプ、リンクに描いた軌道は「もしや」と予感させた。
1. 2.. 3.. 4....崩れることなく着氷したそれは、
解説者がトリプルサルコウと口にしたほど軽やかに決まった
4 回転サルコウだった。

そのあとのフリップジャンプは着氷で体勢が崩れるも、
ダブルアクセルからのコンビネーション、スピン、スパイラルと
綺麗に決めてみせた。
後半、ルッツからのコンビネーションを含めた 4 つのジャンプも
次々と決めていき、
終盤のステップ、スピンも大きなミスなく滑り終えた。

結果は 4 回転をはじめとする いくつかのジャンプで回転不足をとられ、
得点は伸びなかったが、
5 年ぶりに公式試合で 4 回転サルコウを見事に着氷してみせたのだ。

フリーの曲目を『交響曲第 3 番オルガンつき』に変更。
韓国入り前には右肩を痛め、充分な滑り込みが出来なかったにも拘わらず、
7 つのジャンプ要素すべてを転倒することなく滑り終えたのだった。
しかし、この偉業をメディアが大きく取り上げることはなかった。

GP シリーズ前、
『すべての試合で 4 回転を入れていくつもりで練習している』と、
公言したとはいうものの、
安藤選手に向けられる興味はそれだけか、と思われるほど
マスコミの扱いは冷たいものだった。

当時 14 歳の少女が、Jr.GPF で女子選手として初めての 4 回転を
跳んだ時から 6 年。
誰も挑戦すらしなかった 4 回転に安藤選手自ら果敢に挑んだことや
回転不足とはいえ着氷したことは大きな歴史的 1 歩であったにも拘わらず、
生中継に近いかたちの TV 放送は、
賛辞を贈るどころか、何事もなかったかのように あっけなく終わった。

シーズン途中で PG を変更することは、よくあることかもしれないが、
じっくり取り組めるだけの時間があったとは思えない。
まして 直前には右肩を痛めた、最悪の状態。
もしこれが他の選手であったら、
男子さえ難しいとされる 4 回転を含め、ディダクションなく滑り終えたであろうか。

4 回転に挑んだ安藤選手の満足そうな顔を見た時、
そしてそれが得点と順位には結びつかずに、
静かにキス&クライを後にした、切ないほどに美しい姿を見た時に、
云いようのない想いが胸をしめつけた。

フリープロトコルを見ると、
『4S』の左側に『<』マークがついている。
その他のジャンプにも回転不足を示す『<』マークがついているが、
『4S』についた忌々しい『<』を 私は
頭の中の消しゴムで泣きながら消した。



不死鳥は自ら火口に身を投げて灰の中から何度も甦るという。

安藤選手には、どんなに厳しい状況、逆風の中であっても何度も何度も甦って
どこまでも高く羽ばたいて欲しい。
燃える魂を内に秘めた美しいスケーターが目指す至高の世界へと。

Miki Ando is Phoenix. Spread your wings and fly away !

posted by マキティ at 23:01| Comment(32) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月09日

GP ファイナル〜空に想う

GP ファイナル進出が決まってシニアとしては 4 度目の参戦となります

過去の成績は 04 北京で 4 位 
05 東京大会 4 位 
06 サンクト・ペテルブルク(ロシア)では体調不良のため 5 位でした
昨年はNHK 杯の不調によりファイナルへの出場ならず
結果 1 度も表彰台に上がっていません

今季こそ 3 位以上の成績をとの声はありますが
個人的には得点や順位よりも
4 回転の練習が報われることを期待しています
何よりも 怪我などのアクシデントのない状況で
美姫ちゃん自身が満足できる結果になるよう祈るばかりです


Sportiva 1 月号の青嶋ひろのさんの記事や 
WFS No.35 に掲載された美姫ちゃんのインタビューを拝見しましたが
バンクーバーオリンピックを見据えた取り組むべき課題
あるいは競技選手としてのモチベーションの維持の仕方について
語られていました

「勝ちたい」
という 競技者であれば当然もつであろう気持ちを
今の美姫ちゃんが剥き出しにすることは殆どありません
「何かを伝えるような 心に残る演技をしたい
その結果としてご褒美があれば嬉しい」・・・
「勝ちたい」気持ちが まったくないのであれば
ショーで演技を披露するプロスケーターになって
世界選手権のあと競技に戻ってきたりはしなかったはずです
心の底にある「勝ちたい」気持ちは
「しーちゃんと同じやつ獲りたい」の言葉のなかに
慎ましくも断固として息づいていると信じて疑いません

ただ いつもいつも表彰台の真ん中を目指す必要もないと考えます
言葉にするのは簡単ですが生身の人間には当然 好不調の波があり
それはあまりに過酷でしょう
大きな故障を抱えた 繊細な神経のもちぬしでもある美姫ちゃんには
なおさらだと思います
コンスタントに好成績をあげること
根のしっかりした選手になることを目標に
自分の身体と向き合いながらリハビリを含めたトレーニングに力をいれて
今季に臨んだ美姫ちゃんだからこそ 無理をせず
身体と心を労わり パワーの充電をしながら来季へと着実に歩を進めて
大切な舞台にこそ照準を合わせて欲しいと思います 



故障がなければ 充分な練習ができ着実に力をつけて
思い通りの結果を出すことも夢ではないでしょう
常勝することほど気分のいいものはないでしょうから
けれど もしも美姫ちゃんが 
出場する試合すべてで表彰台の真ん中に立てるスケーターだったとしたら
私は こんなに心惹かれることもなかったと思います

雨だれの音に耳をすませて何故か楽しい気持ちになったり
どんより分厚い雲に不安になったり
地面を叩く激しい雨と 響きわたる雷鳴に身をすくめたり
天使の羽のような雪が舞い落ちてきたり
と 一口に空といっても様々な表情があります
いつ見上げても同じ青空だったら
人が空に想いを馳せることはなかったに違いありません

美姫ちゃんの昨シーズンはどしゃ降りのようなものでした
けれど降り続く雨もやがて止む時がきます
空が いろんな顔を見せてくれるように

そして虹は 雨上がりにこそ美しい姿を見せてくれるのです

posted by マキティ at 22:59| Comment(18) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。