2009年04月21日

WTT 2009〜安藤美姫の本気

4 月 16 日〜19 日 東京・国立代々木競技場で
ISU 世界フィギュアスケート国別対抗戦 2009 が開催された。

国別対抗戦 World Team Trophy は 公式戦として初の団体戦になるのだが、
なにか今ひとつ この大会の趣旨が判らないまま、シーズンの最後の最後、
世界選手権のあとのイベントのように楽しく観戦できると思っていた。
実際、選手の皆さんは自国選手の登場のたびに歓声をあげてお祭り騒ぎのように
この大会をチームメイトと共に楽しんでいる様子だった。
将来的には、この団体戦がオリンピックの競技になる可能性もあると聞いているが、
安藤選手とそのファンにとっては
またまた涙なくしては観られない大会になってしまった。

安藤選手の SP は
3 Lz+3 Lo が回転不足の判定を受け、
スピンとスパイラルでも Lv 1 との厳しい評価もあったが、
世界選手権にピークをもっていったその後、ということを考えれば
素晴らしい出来であったと思う。
3 回転+2 回転に逃げずに 3 Lz+3 Lo に挑戦できたこと。
5 コンポーネンツが強化されたことに自身も納得しているようだった。
・・・・・・
女子の FS は、1 日をはさんだ 18 日夕方に行われた。
この日またしても安藤選手を
直前の 6 分間練習で転倒して右肩を外すというアクシデントが襲う。
気丈にも自分で、はめ直したらしいが思うようには滑れなかったはずだ。
それでも 6 分間練習の最後には 4 回転を着氷してみせたという。
演技の結果は、果敢に挑戦した 4 回転が 2 回転となり激しく転倒。
得意のルッツジャンプもシングルになり 3 T+2 Lo+2 Lo では回転不足をとられた。
だが、スピン、ステップ、スパイラルで Lv 3〜4 という評価を得、
順位こそ SP 2 位から 5 位と下げたが、
折れない気持ち、逃げない滑りは、もはや安藤選手の真骨頂のようにもなり、
最後まで気迫のこもった、観る者の心を揺さぶる見事な演技だった。
銀盤のうえの美しい勇者に私は、心からの喝采と惜しみない拍手を捧げたいと思う。


この大会も含め、今シーズンを振り返って、安藤選手は強くなったといわれる。
各メディアも。 一般のスケートファンも。 安藤選手自身も。

「オリンピックでアクシデントがあっても
気持ちを強くもって挑戦しなくてはいけない」
「少しずつスケートに対する気持ちが成長した
来季に向けて最高の演技ができるように 4 回転の練習をする」

本当の自分は「弱っちい」と云っていた安藤選手の試合後の言葉だ。

弱っちいはずの、本当は泣きそうになる、か細い心は、
人一倍多くの試練を経験し、紆余曲折を経て、否応なしに強くならざるを得なかった。
あまりの出来事、状況に、「強くなる」「対応する」ことを覚えたのだろう。
もちろん、安藤選手自ら強くなりたいと望んだからとも云えなくはないが。

状況に応じて強くなったのか、
自ら強くなりたいと切望したのか、
おそらくはその両方で、安藤選手の心は以前に比べて随分強くなったといえる。
しかし、こういう自分になりたい、ああいう自分になりたいと、
そう簡単に、人はなりたい自分に変われるものではない。
けれども、その人の気持ちひとつで、大きな決意で、変わることもできる。
「人は変われる」のだ。

よく、生まれつきの性格はなかなか変えられないと云うが、それは
決意が足りなかったからに過ぎない。本気で変わりたいと思っていなかっただけだ。
自分自身の心に誓い、一大決心で望めば「人は変われる」。
というより、本気になって求めたその瞬間には既に、なりたい自分に向けて
何かが変わり始めているはずだ。
ただ、長い人生の中で、こういう自分になりたいと本気で望む瞬間が
何度も何度も訪れるわけではない。

今はまだ精神的に成長過程にある安藤選手が、本気の瞬間、
すべてを超越した強さでもって大化けする瞬間は、まだもう少し先。
そう、来年の 2 月こそが、「安藤美姫の本気」を解き放つ正にその時であろう。


強くなったといわれる安藤選手。
いえいえ、まだまだ。その過程でしかありません、と私は密かに思っている。
バンクーバーで大化けして恐ろしい程の強さを魅せつけてくれるのを待っているから。




posted by マキティ at 00:06| Comment(8) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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