2009年09月26日

強い気持ちで〜安藤美姫

今年は冷夏といわれた。
さほど気温が上がらなければ、そういうことになるのだろう。
だからといって、暑さが凌ぎやすかったわけではなく、
鬱陶しくジメッとした、梅雨のように蒸し暑い日が続いた。
わが家では、私が腰を痛めたり愛犬がヘルニアになったりで、
これといったイベントもなく静かに「らしくない夏」が過ぎ往くのを見とどけた。

9 月も終盤になると、さすがに朝や夜は涼しくて秋の訪れを感じるが、
そうなってくると、いよいよ来るべきシーズンが目の前に迫ってきて、
胸の奥がザワザワ騒がしく、何ともいえず落ち着かない。

辛い結果に終わった 07〜08 シーズンも
どん底から這い上がった 08〜09 シーズンでも
ここがゴールではない、全てはまだこれからと、
心のどこかに、ほんの僅かながら余裕のようなものが私の中にあった気がする。
だが、今季はそうは云っていられない。
待ったなしの、オリンピックシーズンが廻ってきたのだから。 

カウントダウンで息苦しくなった胸を、メディアが挙って逆なでしてくれる。
些細なことに、見えない何かに、わけもなく脅えてしまう。
得体の知れない恐怖に押し潰されそうで何処かへ逃げ出したくなる。
ときおり、そんな気分に苛まれるのは私だけであろうか。
今季を楽しみにしているとファンの声が聞こえてくる中で、
臆病で心配性の私だけが、この時期になっても、いまだ臨戦態勢をとれずに
とり残されている気がするのだ。

選手を応援するブログで、こんな弱気なことを呟いていいのか。
何故、不安を煽るようなことをわざわざ発言するのか。
その答えはいたって簡単。
今ここで、胸の内のネガティブな部分を吐き出しておきたい、それだけだ。
本格的にシーズンが始まれば、
(あの時に何をすべきであったかなどと後ろを振り返ることも)
逃げ出すことも、弱音を吐くことも出来ないからだ。
私はこれを自分自身にいい聞かせておきたいと思う。

安藤選手には千載一遇の好機を逃すことのないよう、
残り僅かとなった貴重な時間を大切に、
大切に過ごしていただきたいと心の底から願う。
来るべきシーズンへ向けて、
準備万端ぬかりなく、強靭な身体と誰よりも揺るぎない精神で臨んで欲しい。


さて。
先週末( 9/19 )ISCC(コネティカット国際スケートセンター) での
New England Competitor Exhibition において
安藤選手は今季の SP を披露したとのことである。
続いて今週末( 9/26 )には、
Stars, Stripes & Skates( Danbury Ice Arena )への出演。
さらには、さいたまスーパーアリーナにおいて
カーニバル・オン・アイスに出演が予定されている。( 10/3 )

競技やショーの前には、選手の談話を耳にする機会も多く、
安藤選手はオリンピックに対する意気込みを「前回より何百倍も強い気持ち」
とし、また、
「大事なシーズン。しっかりとした気持ちでハードに練習しないといけない」
との言葉もあった。

振り返れば、主力選手として注目を浴びるようになって以来、
その発言にも多くの関心が寄せられ、
嬉しくない事態に陥ることも少なからずあったように思う。

思っていることと、咄嗟に口をついて出た言葉が上手くかみ合わなかったことも。
考えぬいて選んだ言葉がマスコミによって捻じ曲げられて悔しい思いをしたことも。
不器用なまでに正直な性分が、裏目に出ることもあった。

トリノオリンピックの頃、「笑顔で滑れるように」とのコメントが多かったのは、
追いつめられても屈しない心、負けない自分自身への、
半ば無理やりに作った「笑顔」のようにも見えた。
無論、安藤選手にしてみれば「笑顔」に嘘があったわけではない。
会心の笑顔でトリノの地で輝きたかったはずだから。

ひとつの言葉にも様々な解釈の仕方があるし、
自ら発したコメントでさえ、その時には気付かなかった本心というのもある。
注目される立場、重責を負わされた者として、
万人から好ましいと感心される発言を求められるが、
並外れた能力をもったアスリートといえど、人であることには違いなく、
飾らない性格な上に、どちらかといえば饒舌であることが多い安藤選手は、
その分、余計な誤解もまねいてきたようだ。

だが、周囲の声に恐れることはない。
シナリオどおりにしか発言しない優等生である必要もない。

感情をコントロールすること。演技に感情を込めること。
スケーターとして大きな武器を手に入れた安藤選手が、
他の誰にもない表現力で観衆を魅了するように、
人間味あふれる愛すべきキャラクターのまま自分らしくあればいいのだ。

これから本格的にシーズンが始まれば、取材に応じる機会も増えるだろう。
どんな言葉を聞かせてくれるのか、どんな安藤選手に会えるのか、
ファンは心待ちにしている。

「前回より何百倍も強い気持ち」で、
「会心の笑顔」は、バンクーバーで見せてくれればいい。


posted by マキティ at 23:02| Comment(10) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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