2009年08月15日

HACHI 約束の犬

来年か再来年には TV で放映されるだろうから、その時でいいと思っていた。
予告編だけで泣きに泣いた話を映画館まで足を運んで観る、
などという勇気のいることはとても出来ないと思っていた。
「 HACHI 約束の犬」
今週はじめ、 劇場で鑑賞することになろうとは、
我ながら、思いがけぬ行動をとったものだと感心している。

1987 年に公開された「ハチ公物語」は、
忠犬と呼ばれた秋田犬(あきたいぬ)ハチの物悲しい姿をかわいそうに思ったのか、
ポロポロ泣いていた息子に少々気をとられた感もあったが、
物語が淡々と描かれていたからこその、切々と胸に迫るものがあった。

「 HACHI 約束の犬」は、舞台を東京からアメリカ東部の架空の街へ移し、
時代設定も、現在より少し前の話としてつくられている。
かつて忠義心の象徴として描かれていたハチの姿は、
国境を越え時空を越え、さらに種を越え、家族愛のひとつとして描かれていた。

大学教授パーカーと彼に育てられたハチとの、愛と絆を軸に、
パーカーとその妻、娘との愛もふんだんに描かれているあたりは、
さすがにアメリカナイズされた、解かりやすく受け入れやすいものだった。


ベッドリッジ駅で迷っていた秋田犬の仔犬を保護する場面から物語りは始まる。
連れ帰った仔犬を拒む妻ケイトのために、飼い主を探すこととなるが、
ハチにボール遊びを教えようと夢中になって地面に這いつくばるパーカーの姿を見て、
ケイトの頑なな態度も一転、ようやく家族の一員となる。
ハチを可愛がるパーカーの優しさは、
先住犬を失い、それ以来閉ざされていたケイトの心も解してしまった。

パーカーは、時に困った行動をとるハチに振り回されながらも
細やかで、暖かい愛情をハチに注ぐ。
成長したハチは、大学勤めのパーカーを誰に教わるということもなく
毎日駅へ、送り迎えをするようになるのだった。
駅周辺の人々もそんな「ふたり」を優しい目で見守っていた。

ところがある朝ハチは、駅までの見送りを躊躇する。
怪訝に感じるパーカーだったが、しかたなく駅へと向かう。
少し遅れて、ボールをくわえたハチが駆け寄ってきた。
これまで何度試みても「とってこい」をしなかったハチが、
ボールを投げてくれ、というのだ。
初めての出来事に喜ぶパーカーだったが、
ハチはこの日、何かを感じていたのだろう。
家を出るときためらったのも、ボール遊びをして気を引こうとしたのも、
パーカーをこのまま行かせたくなかったからに違いない。
いつものように、夕方にはハチに出迎えてもらう、そんな笑顔を残して
パーカーを乗せた列車はゆっくりとハチから遠ざかっていった。
その日、午後 5 時を過ぎ辺りが暗くなって、一人ぽつんと待っていたハチを
連れ戻しにきたのはパーカーの娘夫婦だった。

パーカーが亡くなった後、娘の家族と暮らすことになったハチは、
その家を飛び出し、ベッドリッジ駅へとパーカーを迎えにいく。
何度季節が移り変わっても、
「パーカーに会いたい」ただその想いで待ち続けるハチの姿は、
10 年という長い歳月に、ほこりにまみれ、うす汚れた老犬となっていた。
ある寒い冬の夜、ハチは夢をみた。
目の前に懐かしい靴。見上げればずっとずっと会いたかったパーカーがいる。
「ハチ、ずいぶん待たせたな」
愛するパーカーと、やっと会えたのだった・・・。


と、ストーリーを思い出しながら振り返ってみたが、
映画を観て驚いたことがあった。 
わが家には私が溺愛する猫、「 RONNIE(ロニー)」がいる。
ロニーの母猫の名前は「レイラ」、父猫の名前は「ルーク」、
うんと遡って小学生の頃に飼っていた雑種犬の名は「ケン」だった。
ここへきて「 HACHI 約束の犬」の裏方の話になるが、
ハチを演じた秋田犬(あきたいぬ)の成犬は 3 頭いて、
それぞれの性格から場面に応じて、つかいわけていたそうだ。
そのうちの 1 頭の名前は「レイラ」、
劇中、パーカーの孫の名が「ロニー」、
ケイトが可愛がっていた先住犬の名が「ルーク」、
パーカーの友人は「ケン」、
ここまでくると、何だか遠い親戚、身近にあった話のような気がしてくる。
だからかどうかは別として、
「 HACHI〜」を観てから、どうにも切なくてしようがない。


昭和のはじめ、実存したハチには忠犬説に対し異論があるという。
主人の死後も渋谷駅に現れる本当の理由は、
駅前の焼き鳥屋からのご馳走が目当てだった、あるいは、
ハチを可愛がる駅周辺の人達から食べ物をもらうため、というのだ。
私はこの説に、云いたい。
ハチは主人である大学教授の上野英三郎氏が亡くなってから、
落ち着き先を転々とすることになるが、最終的には、
上野宅出入りの植木職人、小林菊三郎氏のもとへいくことになった。
安心して眠れるであろう寝床も、食べる物にも困ることはないはずだ。
それでも上野氏が帰ってくる時刻にわざわざ渋谷駅まで出向いたのは、
ハチが上野氏に会いたかったからに他ならない。

人間はどこへ行ってもそれなりに、その場その場で付き合いもでき、
愛する人も含めて大勢と関わりをもって生きていくが、犬は違う。
自分を可愛がってくれる人、
本当に愛してくれる人がたった一人いれば幸せなのだ。
例えその人がいなくなっても、
強い絆で結ばれた愛が、心の中にありさえすれば幸せなのかもしれない。
その幸せを忘れたくないから、いや、忘れられないから、
ハチはあの場所に居続けたのではないだろうか。
上野氏、パーカーの愛を受けとるために。


11 日は結婚記念日だったので、夫婦で「 HACHI〜」を鑑賞した。
暗い映画館から明るい照明のところまで出て、お互いの顔を見て吹きそうになった。
「どんだけ泣いた?!」
私のメイクは見るも無残なことになっていた。
                             (コメント欄に補足あり)
posted by マキティ at 23:50| Comment(7) | TrackBack(0) | 可愛いモノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月08日

HACHI とリンダ

「ベッドリッジ駅、午後 5 時。駅にはいつも君が待っていた。」

このコピーで始まるわずか 1 分ほどの予告編を観て、涙が溢れた。
あまりに感動したものだから、家族にも観るようにすすめ、
家の者と一緒に、再度観ることとなったのだが、この時も涙が出た。
結局、予告編だけで 5〜6 回も泣いてしまった。

映画「 HACHI 約束の犬」は、
日本人なら誰もが知っている忠犬ハチ公の実話を、
1987 年に松竹が映画化した「ハチ公物語」のハリウッドリメイク版である。

8 月 8 日の全国公開を前に、7 月 7 日、
渋谷駅前において記念セレモニーが行われたが、
犬好きの私は、主演のリチャード・ギアが好きな俳優ということもあって、
片っ端からネットのニュースをチェックした。

オフィシャルの写真ギャラリーをながめているだけで、
すでに物語の内容を知っているだけに、またまた涙にくれてしまった。
こんなふうに私は、犬・猫が登場する話にめっぽう弱い。
映画やドラマを観ていても、主役そっち退けで端役の犬とか猫に気をとられ、
肝心のストーリーが頭に残っていないことさえある。

過去においても、例えば「禁じられた遊び」を
子供の頃に学校の映画鑑賞会で初めて観た時、
冒頭で、戦闘機からの銃撃で命をおとした仔犬?小型犬?のことが、
かわいそうでかわいそうで結局、戦争の悲惨さも何も理解できなかった。

地中から巨大なモンスターが出現し人々を襲う、
という、ある映画でも、登場していた 1 頭のワンちゃんが気になって、
話の展開も結末も、何という映画かさえ憶えていない始末なのだ。

こんなことを云いだすとキリがないので、「 HACHI〜」に話を戻そう。

毎日しごと帰りの主人を駅で迎え、亡くなってからも待ち続けた、
「ハチ」と名付けられた秋田犬(あきたいぬ)と、
ハチを可愛がっていた大学教授の愛と絆を描いたこの物語は、
22 年前、日本で「ハチ公物語」として映画化され、私はそれを TV で観た。
仲代達矢さん演ずる大学教授が帰らぬ主人となってからも、
そのことを理解できずに待ち続けるハチの晩年は哀れで、
健気な姿が愛おしく、胸が締めつけられるような切ない感動があった。
いっしょに TV を観ていた、まだ会話もままならないほど幼かった息子は、
ポロポロ泣きながら、しまいには号泣していたが、
ハチの姿は、こんな小さな子供の心までも動かしてしまうのだと、
私の記憶のなかで、感動の後押しになっている。

「 HACHI〜」の記念セレモニーがあった 7/7 は、
秋田犬の愛情深さや、犬と人との絆の普遍的な素晴らしさを、
あらためて想いおこしたり、
主演のリチャード・ギアの暖かい笑顔と人柄に惚れ直したり(笑)、
心優しい青年に成長した息子の、可愛い泣き顔を思い出したりして、
ひとり感慨にふけっていた。

犬の健気な可愛さに浸ったその翌日、
わが家のペキニーズ「リンダ」( 6 才、オンナのコ)に異変が起きた。
腰が立たず、後ろ足が麻痺してしまったのだ。
レントゲンを撮って見てみると、
本来ならば軟骨なので何も写らないはずの背骨と背骨の間の部分が、
1 個所だけ、うっすらと白くなっていた。
獣医師によると、おそらく椎間板ヘルニアではないかということだった。

応急処置としてレーザーを当て、神経を活発化させるビタミン剤をもらい、
数日は家でようすを見ることになった。

リンダは、自分に起こった異変に戸惑ったのか、痛みがあったのか、
初めのうちこそ大人しくしていたが、
足を引きずって移動することに慣れてくると、
それなりにピョンピョン跳ねたり、普通に食欲もあり元気なようすだった。
(安静にするよう云われていたのに、はっきりいって動き回っていた)

しばらく何度か通院し、今では麻痺していた足も徐々に動きだして、
幸い回復に向かっているようでホッとしている。

実は、6 月の半ば頃に遡るのだが、
猫のトイレの掃除をしていた私は、ギックリ腰になってしまい、
元々腰に疾患がある私は結構、ビビッていた。
悪くすると将来、下半身不随になる恐れがある、要は爆弾を抱えた腰だからだ。
今のところ日常生活に支障はないし、
ギックリ腰もずいぶん良くなってはきているが。

こんな話を聞いたことがある。
飼い主に降りかかるはずだった災いを、そこで飼われている犬や猫が
身代わりに受けるというのだ。

いつもはほったらかしにされて、
きちんとした世話もしてもらっていないリンダなのだが、
ペットショップで売れ残っていたリンダを私が気に入って
連れて帰ってきたことへの「恩返し」なのか。
私のギックリ腰が大事に至らなかったことと、
リンダのヘルニアのタイミングが、その話を思い出させた。

リンダは身を挺して私の痛みを引き受けてくれた、と云うと、
考え過ぎだろうか。

posted by マキティ at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 可愛いモノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月05日

REQUIEM

ああ、何ということだ。
何が起こったというのだ。
今日も空には太陽が輝き、雲はゆっくりと流れ、
鳥は木漏れ日の中で楽しげに囀っているというのに、
あなただけがいなくなってしまった。

信じられない。
こんなことは起こるはずもない。
そうか、誰かが悪ふざけをしているのかもしれない、
そうでなければ私は夢をみているのだろう。

嘘だと思いたい、何かの間違いだと。


あなたは何処へいった。
あなたは今、何処にいる。

いつも一緒に歩いたこの道。
木枯らしに冷たくなった私の手を暖めてくれた大きな手は、
もう、ここにはない。
日が暮れるまで遊んだ広場。
夢中で追いかけたあの背中は、もう見えない。

昨日の優しい微笑みに、もういちど会いたい。


激しい雨が窓をたたく夜が恐い。
心臓の音だけが聞こえる深い深い闇の夜が恐い。
恐ろしくて心細くて、あなたを求めるけれど、         
暗闇の向こう側に、一筋の光さえ見えない。                    
                              
運命は何ゆえに愛する者たちを分かつのか。            
大切な人を奪って、満ち足りた時を引き裂いた、
私に絶望だけを残して。

どうして、こんなことになった。
どうして私はこんな想いをしなければならない。
誰が悪かった、何がいけなかった。
わからない、わからない、わからない、わからない。


肉体がいつか滅びさってしまうのならば、   
魂は何処へ向かっていくのだろう。
安息を求めて天へと旅立っていくのか。
そこに痛みや苦しみのない、
安らぎに満ちた世界が待っているのであれば、     
私は祈る。
どうか、私の愛する人を受け入れて下さいと。


厚い雲が空を覆いつくし、雷鳴が轟いても、
いつかはその雲の切れ間に、眩い光が射す。
やがて、夜空には星が姿を現し、
生まれたての朝が訪れる。

今日をはじめる朝の光に、静かに眼を開ければ、
全てを受けとめた新しい私に気づくだろう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

PG の振り付けとは感じさせずに、
楽曲そのままを体現してみせた安藤美姫の「 REQUIEM 」。
そこには決められたエレメンツを、
教えられた通りにするだけのスケーターではない安藤選手の姿があった。


暗めの照明にピンスポットで浮かび上がった安藤選手の端正な顔立ちを
影が縁取る。神々しいほどの美しさだ。

Jr.時代の EX、恐らく「カルメン」だったと思うのだが、当時の、
無垢で恐いもの知らずの眼ぢからに、はっとさせられたことがあった。
「 REQUIEM 」では、
絶望の淵から幾度も這い上がってきた者だけが持つ、
凄みさえ漂わせるその眼に、哀しみや怒りが感じられた。
そう、観ているこちらが息苦しくなるほどの圧倒的な力で。

自信に満ちた、というと安藤選手は謙遜するかもしれないが、
少なくとも揺るぎない何かを得たようにみえたのだ。


心の奥底から湧き上がる感情。
それを演じきらせた、安藤選手のなかにある揺るぎない想い。

安藤美姫の「 REQUIEM 」は創られるべくして創られた、崇高な作品だといえる。

空高く、天へ捧げた祈りとして。

posted by マキティ at 23:32| Comment(4) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月31日

How many Miki's face

このオフはメディアへの露出が多かった安藤選手。

5 月「はなまるマーケット」「東京フレンドパークU」
6 月 28 日「おしゃれイズム」
7 月 5 日「ジャンクスポーツ!」
7 月 20 日「トヨタ ECO スペシャル地球不思議大紀行 生命の海の謎を追え!」

この他にも「とくダネ!」「すぽると」「J スポ」等でのインタビュー、
さらには新聞、雑誌にもとり上げられていた。

今シーズンはオリンピックイヤーということもあり
安藤選手が有力な代表候補の一人であることは間違いないので
スポットライトの当たる機会が増えるのも当然だろう。

スポーツニュースのインタビューでは
控えめな言葉の中にも今季にかける確固たる想いが感じられ、
アスリート安藤美姫の底知れぬパワーを垣間見ることができる。

が、バラエティ番組に出演した時の安藤選手は、まったく違う印象で
毎回驚かされる。いや、驚かされるなんてものじゃない、
同一人物とは思えないほどの天然ぶりで、
わが目、わが耳を疑うくらいに面白いキャラクターの持ち主だ。

VOGUE 誌を飾った美人であるにもかかわらず、
高飛車な感じ、気取ったところがない。
自身にまつわるエピソードのひとつひとつを語るようすが実に面白い。

このオフ、最初に驚かされたのは 6 月の名古屋での 1 日警察署長のニュースだ。
ひとめ見て、黒っ!と思った。
警察の制服姿に日焼けした顔が妙にリアルで、
こんな婦警さんなら逮捕されたい、
などという見出しもネット上ではあったほどよく似合っていた。

この日焼けはアメリカのアパートにあるプールで、
トレーニングをしたためと「おしゃれイズム」で冗談っぽく暴露している。

同番組での安藤選手の気取りのないおしゃべりは
聴き手の上田晋也さんの絶妙な切り口により何度も爆笑を誘い、
他にも変顔をしてプリクラで撮ったものを披露したり、腹踊りをしてみせたり、
ワンワンサーカスでは無邪気に参加し、
普通の 21 歳の女の子の自然な表情を余すところなく見せてくれた。
憧れの人として速水もこみちさんが登場してからは終始恥ずかしそうで、
照れて紅くなった安藤選手の顔は何とも可愛らしかった。

また「ジャンクスポーツ!」での
名古屋名物(?)小倉トーストの映像をモニターで見つめる表情は
ショーウィンドウのスイーツをじっと見ている小さい子供を思わせ、
無垢であどけない少女のように愛らしい顔だった。

アスリートとして真摯な態度でインタビューに応える大人な安藤選手と
飾らない、素顔のままの人柄が可愛く魅力的な安藤選手。
この「振れ幅の大きさ」は、いったい何なのかと思ってしまう。


「 Bring 'In Da Noise, Bring 'In Da Funk 」で魅せた
ダンサブルな演技にモロゾフコーチは、
スローなパートでは sexy にと指導したという。
美人が挑発的な衣装で激しく舞えば、それだけで sexy な PG に仕上がるが、
まだまだ安藤選手には照れがあるように思う。
マリリン・モンローやマドンナにでもなったつもりで演じきれば、
どれほど sexy でカッコイイだろうか。
それがサマになるスケーターは安藤選手の他にはいないのだから。

もうひとつの EX ナンバー「 REQUIEM 」は
「 Noise & Funk 」とは対照的ともいえるほど荘厳な PG で
この魂のスケーティングについては機会を改めて触れたいと思うが、
安藤選手の天に祈りを捧げるような、あの顔は、
もう、とにかく、筆舌に尽くし難いほど美しい、とだけ今は云っておきたい。


これまでの経験がもたらした内なる叫びを吐き出すように表現した、
魂のこもった滑り、その神聖なまでの美しさ。
それとは真逆の、健康的なエロティシズム。
等身大の、飾らない、少女のような可愛らしさ。
ファンの想いを大切にし、常に周囲への気配りも忘れず、
日々努力を重ねるアスリートとしてのひたむきさ。
VOGUE 誌の企画でスケートレッスンをした際の、小さい子供に向けられた、
晩年のオードリー・ヘプバーンのような慈愛に満ちたまなざし。

どれもこれも安藤選手そのものなのに、その表情は何と多彩なことか。
表情、表現の幅の大きさは、アスリートとしてだけではなく、
アーティストとしても、またひとりの人間としても、
実に魅力的で、その一瞬一瞬の輝きにどんどん引き込まれてしまう。


これからもいろいろな「顔」を見せてくれるにちがいない安藤選手。
私たちファンは、そのつど驚かされ、その魅力の虜となるだろう。

今シーズンが終わる時、
最高の笑顔に輝いた安藤選手に会いたい。

posted by マキティ at 22:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月23日

ラウンジ 安藤美姫 #220

「ファンの人の言葉はすごく力にもなるし、
スケートを辞めたいと思った時もネットを見てすごく元気になった。
アメリカには周りに日本人がいないので、
ラウンジを見て、けっこう淋しいのをしのいだこともあったし、
応援していただいてもっと頑張ろうっていう気持ちにもなった。
最近は毎日ラウンジを見てメッセージも書いている。ちょっとお楽しみな時間。」
(フィギュアスケート・オフィシャル応援ブック 2006 の 16 ページから引用)

これは安藤選手がトリノ・オリンピックに挑む少し前に、
フィギュアスケート通信の「ラウンジ」についてコメントしたもので、
後に、07 世界選手権での優勝インタビューにおいても、
応援するファンへの感謝の意のなかに「スケートのラウンジっていうサイト」
という言葉で表現している。

そのラウンジが 5 月 31 日夜、何の予告もなく閉じられ、
アクセスできなくなった。


私が遅いネットデビューでラウンジに初投稿したのは、
優勝インタビューから随分日にちも過ぎた 07 の秋のことだった。
スケートファンが集まる掲示板、
安藤選手への応援メッセージを書き込むためのスレッドに、
その辺りの流儀も知らないで、挨拶もなしにいきなり、
自分の想いをぶつけるような書き込みをしたのが最初だった。

そこは、以前から長く書き込みをしている古参の方々、
優勝インタビューで一気に知名度が上がり集まってきた方々、
そして私のような新参者まで、大勢の安藤選手ファンが集い、
閑散としている他のスレッドを横目に、
それぞれの想いを、キーボードを打つ指に託して文章に仕上げ、
安藤選手のために何かしら力になりたいと綴られた膨大な量のメッセージが
集結するところであった。

純粋な気持ちをストレートにぶつけたもの、
技術や採点の仕方まで詳しく解説されたもの、
また、単純に情報として投稿されてくるもの、
内容は多岐にわたり、時には投稿者同士が互いの意向にそわず
議論に発展しながら、それでも、安藤選手のためにとの想いだけは共有していた。

また、嫌がらせや誹謗などもあり、殺伐とした様になることもあったが、
安藤選手が幾多の試練を乗り越えてきたように、
真摯なファンの多くは、心ない言葉に荒らされても共有した想いを大切にした。

ラウンジは選手ごとにスレッドが立てられていたが、
冒頭で記したように、安藤選手自身が書き込みをすることもあり、
他の選手への投稿数に比べて格段に多かった。
220 にも及ぶ、ブッチギリのページ数で。

安藤選手は忙しい身でありながら、ファンとの交流を大切にし
ジュニアの頃から今年の 1 月 25 日まで、何度となく書き込みをしてきたのだ。
例え心のない言葉に自身が傷つこうとも、それをはるかに上回る、
数え切れないほどの愛情に満ちたメッセージを受け取るために。


サイトを管理する側は並々ならぬ気苦労も多かったと想像がつく。
どういう事情があって、突然閉鎖してしまったのかは判らないが、
あの場を長い間、提供してくれたことへの感謝の気持ちがあるだけで、
それ以上のことを求めたりするのはやめておこうと思う。

ラウンジが無くなって 3 週間程になるが、
誰かが、例えば自分のブログなりホームページなりで、
この話に触れたりはしていないのだろうか。
それとも私はタブーを冒してしまっているのだろうか。

このブログの過去の記事で「某掲示板」と称してラウンジのことに
言及したことがあった。(某巨大掲示板とは別)
今さらだが、触れてはならぬもの、の感があったのかもしれない。
けれど、もはや姿を消してしまったラウンジに「ああ、そうですか。サヨウナラ」
と、あっさり忘れてしまうことが私にはどうしてもできなかった。

ラウンジが姿を消したひとつの伏線として、
「 Miki Ando & Fans 」なる掲示板が出来て、そちらにファンが移ったことも
あるのかもしれない。
その他にもファンが集まって語り合うことのできる掲示板やその類のサイトは、
私が知らないだけで存在しているだろうし、
スケーターを応援しているファンは行き場所を完全に無くしたわけではない。

だが、ラウンジは単なる掲示板を越えた「何か」であった
と云えるのではないだろうか。
そこには、スケーターとファンとの確かな絆があった。
姿かたちは映っていなくとも、それはまるで想い出のアルバムのようなものでは
なかったか。

緊張で身体中が震えた時も、高揚して眠れなかった夜も、
共に流した涙も、唇をかみしめて耐えてきた悔しさも、弾けんばかりの笑顔も、
他愛ないひと時さえも、
そのすべてを愛おしみながら、帰らぬ時を刻みつけた大切な場所。

まだあどけなさの残る可愛らしい言葉で綴ってくれた安藤選手の
一瞬、一瞬の輝きで満ち溢れた大切な場所。


「ラウンジ」〜休憩室、社交室、憩いの場、くつろぐ事のできる空間。

WEB 上ではアクセスできなくなってしまったが、
私たちの心の中から、あの想い出のアルバムが消え去ることはないだろう。

スケーターとファンとの想いが紡ぎだした強い絆だけは、永久に消えはしない。

posted by マキティ at 00:00| Comment(8) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月20日

赤と黒のフォトニュース

12 日発表された、バンクーバー五輪の代表選考基準によると、
男女各 3 枠のフィギュアは GP ファイナルで 3 位以内に入った日本人最上位者を
全日本選手権出場を条件に内定するとのこと。
さらに、12 月下旬の全日本優勝者は原則として選考され、
全日本 3 位以内、GP ファイナル進出者、全日本選手権終了時の
世界ランキング日本人上位 3 人を対象に総合的に判断され選ばれる。
また、過去に世界選手権 6 位以内の実績を持つ選手が
シーズン前半、怪我等で成績不振の場合は選考対象に加えられることもあるという。

このニュースが飛び込んできた時、
いよいよ 09-10 シーズンが始まるんだと実感した。
安藤選手には、是非とも五輪代表に選ばれてトリノの雪辱を果たして欲しい。


さて話は変わって、ドリーム・オン・アイス( DOI )が19〜21 日
新横浜スケートセンターにて行われている。
昨夜からネット上や TV、新聞でも話題になっているのが安藤選手のコスチュームだ。

真っ赤なブラトップに黒いミニスカート、黒革の手袋と黒いオーバーニー。
上半身を包むように身に纏っているのは背中部分が大きく開いた網目状の・・・・
これは何? 楔帷子(くさびかたびら)? 革の手袋は手甲のイメージ?
「Bring In 'Da Noise, Bring In 'Da Funk 」というタップ・ダンスの曲らしいので、
まさかその昔、忍者が防刃着として身につけていた楔帷子なんてことはない(笑)。
それにしても、なんと挑発的で sexy な衣装なのだろう。度肝を抜かれてしまった。
そしてこの姿が、安藤選手の抜群のスタイルを引き立てて、よく似合うものだから
フォトニュースはどれもこれも、一時、このカッコイイ安藤選手で満載だった。

今朝早く TV で少し映し出された、
ちょっぴり日焼けした健康的な笑顔の安藤選手は、活き活きと躍動感に溢れ、
充実したオフを過ごせたようであった。
元気そうで、何よりもそれが嬉しかった。

この DOI の模様は、TV 放映される予定だが、
ジャンプのキレもあり、スケーティングにも力を入れてきた、
となれば来週の土曜日が待ち遠しくてならない。

しばらくはショーが続く安藤選手。
体調と怪我にだけは気をつけて、観客との一体感を存分に楽しんで欲しいと思う。

posted by マキティ at 22:43| Comment(4) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月02日

My dream is your dreams coming true

09-10 シーズンの GP シリーズは、
第 2 戦ロシア杯と第 4 戦 NHK 杯にエントリーが決まった安藤選手。
今月には DOI、またその翌週にはアイスジュエリー 2009 にも
出演が予定されています。

今回はそんな安藤選手にオリジナルの Lyric を捧げます。


When I was down and out
I found a flower on crystal ice
It took my breath away
and gave me the power to live my life

Sometimes you look like a gorgeous rose
Sometimes you look like an elegant lily
and your smile is always look like a dandelion

You were standing still in a hard rain
Now the sun's gonna shine on you again

You cried so many times
You must hear the voices of someone you love
when you look up the sky
You're not all alone

Sometimes you dance like a cute girl
Sometimes you dance like a glamorous lady
and your smile is always holy like Madonna

You were standing still in the shadows
Now you're gonna catch the rainbow

I wanna do something for you

But I know all I can do is watching you with love
Only one thing I can do is praying for you

My dream is your dreams coming true



posted by マキティ at 23:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月08日

TFPU〜「安藤おもしろい」

5 月 7 日、美姫ちゃん自ら番宣をしていた
フレンドパーク( Attraction of Tokyo Friend Park U)が放映されました。

控え室で、「フィギュア以外のスポーツはできないという情報ですが」と問われ、
「サッカーボールに乗ってコケます」と応えていた美姫ちゃん。
本当はスポーツ万能らしいのですが、ここはちょっと控えめでした。

1 st Attraction は WALL CRASH
これを 1 番してみたかったという美姫ちゃんでしたが、
収録のあった前々日に肩を痛めていたので、これをパス。
この日の仲間である織田選手、小塚選手、浅田選手に(特に織田選手の方を向いて)
「クリアしないと ちょっと怒るよ」と威圧的な発言がとび出し(笑)
おとなしくしていたのは控え室でだけだったことを早くもチラつかせていました。
参加しない美姫ちゃんはチクチクしてそうな、あの装備にはならずに、
もっぱら応援に徹していましたが、このアトラクション、
小塚選手の頑張りで幸先良く CLEAR 、金貨を 2 枚獲得しました。

2 nd Attraction は PHYSICAL MAIL
簡単な問題に対してまずひらがなで答えを打ち、
メールの時のように漢字に変換するというアトラクション。
2 人づつチャレンジするのですが、
入れ替わりのローテーションに 4 人の呼吸が試されるような、
ちょっとバタバタ感が可笑しく、織田選手いわく「しんどいコレ」でした。
ここでは美姫ちゃんの日頃のメールの達人ぶり?が発揮され、
またも CLEAR 、金貨を 1 枚 GET しました。

さて次は難関の 3 rd Attraction 、NEVER WIPE OUT!
シーソーに 2 人が乗り微妙なバランスでボールを操る、
見ているこちらまで身体が動いて力が入ってしまうアトラクションです。
血液型の同じ A A チームとして織田選手と組んだ美姫ちゃん。
初めに少し練習する場面で、右に動き左に動き、次も右に動くものと思い込み、
止まっている織田選手に激突(笑)。
その後、浅田選手との練習シーンでも、
副支配人の渡辺さんの号令は「右」だったのにもかかわらず、
何を思ったのか左にいったりと、天然パワーが炸裂していて爆笑させられました。
結局男子 2 人の頑張りで、ここも CLEAR 、金貨 1 枚。
全員が大喜びするなか、織田選手と小塚選手に「ありがとう」と
美姫ちゃんの小さな声が聞こえました。

4 th Attraction は ARCADE 5
美姫ちゃんは「口、大っきいんで大丈夫です」と吹き矢に挑戦し、これを成功。
次はどれに挑戦するかという場面で、
この辺まできてやっと支配人の関口さんと渡辺さんが、
「もしかして安藤さんがキャプテン?」と気づくも時既に遅しといった感じでした(笑)。
美姫ちゃんは「金貨も余ってるぽいかな・・」なんておねだり発言までする、
茶目っ気ぶりを見せてくれました。
織田選手がバスケをするところでは、「ま、好きにやって」
これには渡辺さんも「安藤、面白いな」とウケていました。
結局バスケは NG でしたが、「大丈夫」とフォローも忘れていません。
これが美姫ちゃんの気配りなんですね。
何や彼やといいながらも、ここも CLEAR で金貨 1 枚。

5 th Attraction 、FLASH SAURUS
点滅する光が動いていくのに合わせてジャンプするのですが、
ジャンプする 3 人が全員できないといけないので、ちょっとしたプレッシャー。
プレッシャーがまだそうでもない 2 番手でいくと云い切った美姫ちゃんに
またも「安藤、面白い」(笑)。
ここでも CLEAR で金貨は 2 枚獲得しました。

困難?なのが 6 th Attraction の QUIZ! BODY&BRAIN
美姫ちゃんへの問題は「渋谷にあるデパートといえば?」だったのですが、
「渋谷にあるデパートですかぁっ?!」と声も裏返るような勢いで
「 109 しか行かないっすよぉ!」などと反論(笑)。
おしとやかな美姫ちゃんは何処へいったの?状態で、
その快活ぶりが可笑しく微笑ましく、なんだか安心しました(笑)。
ですが残念なことに、このアトラクションは NOT CLEARED!!

最後 7 th Attraction は HYPER HOCKEY
美姫ちゃんは台をも揺るがす力の入りようでポイントを稼ぎ、ここは CLEAR
金貨を 2 枚 GET し、計 9 枚で BIG CHALENGE へ。

金貨を 9 本のダーツに替えてそれぞれ希望の商品を目指す、ここは腕の見せ所。
それぞれの希望した品というのが、
ノートパソコン、液晶テレビ、冷蔵庫であったのに対して美姫ちゃんはというと、
家族でいく温泉旅行。
一人だけ家電製品ではなく心に残るものを希望したところが美姫ちゃんらしいと
感じました。

フレンドパーク。とにかく面白さは最高でしたし、
美姫ちゃんの天然ぶり、茶目っ気ぶり、快活ぶりを存分に楽しませてもらえました。
そして美姫ちゃんと皆さんが楽しいひと時を過ごせたこと、
何よりも嬉しく思いました。

美姫ちゃん、素のあなたは面白い!
そして、あなたの笑顔はファンにとっての至宝、可愛いさは最高級ですねっ!

posted by マキティ at 23:20| Comment(6) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月21日

WTT 2009〜安藤美姫の本気

4 月 16 日〜19 日 東京・国立代々木競技場で
ISU 世界フィギュアスケート国別対抗戦 2009 が開催された。

国別対抗戦 World Team Trophy は 公式戦として初の団体戦になるのだが、
なにか今ひとつ この大会の趣旨が判らないまま、シーズンの最後の最後、
世界選手権のあとのイベントのように楽しく観戦できると思っていた。
実際、選手の皆さんは自国選手の登場のたびに歓声をあげてお祭り騒ぎのように
この大会をチームメイトと共に楽しんでいる様子だった。
将来的には、この団体戦がオリンピックの競技になる可能性もあると聞いているが、
安藤選手とそのファンにとっては
またまた涙なくしては観られない大会になってしまった。

安藤選手の SP は
3 Lz+3 Lo が回転不足の判定を受け、
スピンとスパイラルでも Lv 1 との厳しい評価もあったが、
世界選手権にピークをもっていったその後、ということを考えれば
素晴らしい出来であったと思う。
3 回転+2 回転に逃げずに 3 Lz+3 Lo に挑戦できたこと。
5 コンポーネンツが強化されたことに自身も納得しているようだった。
・・・・・・
女子の FS は、1 日をはさんだ 18 日夕方に行われた。
この日またしても安藤選手を
直前の 6 分間練習で転倒して右肩を外すというアクシデントが襲う。
気丈にも自分で、はめ直したらしいが思うようには滑れなかったはずだ。
それでも 6 分間練習の最後には 4 回転を着氷してみせたという。
演技の結果は、果敢に挑戦した 4 回転が 2 回転となり激しく転倒。
得意のルッツジャンプもシングルになり 3 T+2 Lo+2 Lo では回転不足をとられた。
だが、スピン、ステップ、スパイラルで Lv 3〜4 という評価を得、
順位こそ SP 2 位から 5 位と下げたが、
折れない気持ち、逃げない滑りは、もはや安藤選手の真骨頂のようにもなり、
最後まで気迫のこもった、観る者の心を揺さぶる見事な演技だった。
銀盤のうえの美しい勇者に私は、心からの喝采と惜しみない拍手を捧げたいと思う。


この大会も含め、今シーズンを振り返って、安藤選手は強くなったといわれる。
各メディアも。 一般のスケートファンも。 安藤選手自身も。

「オリンピックでアクシデントがあっても
気持ちを強くもって挑戦しなくてはいけない」
「少しずつスケートに対する気持ちが成長した
来季に向けて最高の演技ができるように 4 回転の練習をする」

本当の自分は「弱っちい」と云っていた安藤選手の試合後の言葉だ。

弱っちいはずの、本当は泣きそうになる、か細い心は、
人一倍多くの試練を経験し、紆余曲折を経て、否応なしに強くならざるを得なかった。
あまりの出来事、状況に、「強くなる」「対応する」ことを覚えたのだろう。
もちろん、安藤選手自ら強くなりたいと望んだからとも云えなくはないが。

状況に応じて強くなったのか、
自ら強くなりたいと切望したのか、
おそらくはその両方で、安藤選手の心は以前に比べて随分強くなったといえる。
しかし、こういう自分になりたい、ああいう自分になりたいと、
そう簡単に、人はなりたい自分に変われるものではない。
けれども、その人の気持ちひとつで、大きな決意で、変わることもできる。
「人は変われる」のだ。

よく、生まれつきの性格はなかなか変えられないと云うが、それは
決意が足りなかったからに過ぎない。本気で変わりたいと思っていなかっただけだ。
自分自身の心に誓い、一大決心で望めば「人は変われる」。
というより、本気になって求めたその瞬間には既に、なりたい自分に向けて
何かが変わり始めているはずだ。
ただ、長い人生の中で、こういう自分になりたいと本気で望む瞬間が
何度も何度も訪れるわけではない。

今はまだ精神的に成長過程にある安藤選手が、本気の瞬間、
すべてを超越した強さでもって大化けする瞬間は、まだもう少し先。
そう、来年の 2 月こそが、「安藤美姫の本気」を解き放つ正にその時であろう。


強くなったといわれる安藤選手。
いえいえ、まだまだ。その過程でしかありません、と私は密かに思っている。
バンクーバーで大化けして恐ろしい程の強さを魅せつけてくれるのを待っているから。




posted by マキティ at 00:06| Comment(8) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月31日

安藤美姫の不死鳥伝説

ここ 1 ヶ月、何に焦点を絞って記事にすればいいのか迷いに迷った。
頭の中のキーワードは、次から次へと浮かんでは消えの繰り返しで、
結局、前回から今回まで大きく間隔が空いてしまった。
確信がないから決めかねる、迷いの構図にすっぽりハマってしまった 1 ヶ月だった。


2009 世界選手権( LA 開催 )女子 SP は日本時間 28 日早朝に行われた。
「 The Chairman's Waltz 」(映画「 SAYURI 」より)
冒頭の 3 Lz+3 Lo に手痛いダウングレードをとられるも、
その他のエレメンツには取りこぼしがなく、
チェンジフット・コンビネーションスピン、
スパイラルでは Lv 4 というほぼ完璧な演技。
なかでもステップは今や云い尽された感もあるが、
儚くも懸命に生きる花の芯の強さを、
女性らしい柔らかな腕の使い方と表情で情感たっぷりと表現してみせた。
静かな、少し暗いイメージさえある「 The Chairman's Waltz 」を
ここまで見事に表現できるのは安藤選手をおいて他にないだろう。

内なるものを表現するには、人としてそれ相当の経験がなければ難しいものだ。
技術面で壁に当たったり、思うように評価されないことくらいで、
外野は簡単に「試練」などと大袈裟に云うが、
そんなことはアスリートなら誰でも、多かれ少なかれ味わう洗礼のようなものだ。
だが本当の「試練」というのは、大舞台での惨敗や、
選手生命の存続に影響を及ぼすような大きな怪我などをいう。
そんな試練を、慟哭の暗い闇を、幾度となく乗り越えてきた安藤選手だからこそ
表現し得た「 The Chairman's Waltz 」であったと思う。
滑り終えた安藤選手の気品に満ちた穏やかな横顔は最高に美しかった。

翌 29 日(日本時間、午前)FS 。
前日の SP で 4 位につけた安藤選手の PG は「交響曲第 3 番オルガン付き」
3 Lo が回転不足になった以外は、すべてのジャンプを完璧にこなし、
スピン、スパイラル、ステップも Lv 3 〜Lv 4 を並べるノーミスの演技。
SP 同様、ステップでの気迫のこもった表情に引き込まれた。
何よりもジャンプには安定感が感じられた。
ヴァイオリンの旋律にのって、荘厳な楽曲に負けない圧巻の演技は、
最後のポーズをとり終えた時、
昨年の悔しかった想いを振り払うように少し涙を溜めた目で笑顔になった。
本当に嬉しそうな笑顔だった。

当初予定された 2 連続 3 回転と 4 回転は回避したが、
PCS では 5 項目中、3 項目で 8 点台という高い評価を得て、
FS の SCORE を 126.26 とし SB を出した。
結果、190.38 となり銅メダルを獲得し、表彰台に上ることができた。
今大会では来季のオリンピック出場枠がかかっていたのだが、
安藤選手は日本人代表としての重責を果たし、バンクーバーへの「 3 」を確保した。

さて。
今シーズン、改めてつくづく感じたことは PG における楽曲の重要性だ。
SP でいうとキム・ヨナ選手の「死の舞踏」
FS であれば浅田選手の「仮面舞踏会」などは、面白い CHOICE であったといえる。
音楽だけでも聴き応えがあり、観衆を味方につける。
judge に対してもまた然りで、演技だけではなく
楽曲もまた PG というひとつのパッケージで見た場合、非常に大切なのだ。
来季の安藤選手の PG がどうなるかが、興味深いところだが、
「 Bolero 」が今シーズンの EX 、ショーで見納めとなってしまうのは、
たいへん残念で、もったいないように思えてならない。


安藤選手が今季、大崩れすることなく、
GP ファイナルを除いた試合すべてで表彰台に立てたのは、
「日常の感情の浮き沈みをスケートに出さないこと」を心がけたからだという。
よく、心の弱さがリンクの上で出てしまうと口にしていたが、
感情を抑えて、心をコントロールできたから、安定した成績も残せたというのだ。
だが、こうも云っていた。
「滑っていて何も感じない」
「自分の心が見えて、それを演技にするのが生きがい」

私はこの言葉を聞いてから、ずっと考えていた。
安藤選手は今もまだ暗闇の中で、もがいているのではないかと。
「光」はまだ遠くにしか見えないのではないかと。

人は迷う。
迷いの中に光を見つけ出そうと懸命にもがく。もがき苦しむからこそ強く成長する。
この先、「迷いのない 1 年にしたい」とつぶやいた瞳の奥に、
不安と向き合いながら、闘いに挑む安藤選手の本当の強さを見たような気がした。


私は今季を、どん底から這い上がる「リハビリシーズン」と勝手ながら位置付けした。
そして、4 回転の練習が報われることと、
大きな怪我をせず無事にシーズンを過ごせることを願った。
結果、GPF でダウングレードをとられたとはいえ 4 回転を見事に着氷してみせた。
怪我はなかったとは残念ながら云えないが、
それに負けないトレーニングの成果もあった。

正念場である来シーズン。
さらに成長し続ける安藤選手の本物の「不死鳥伝説」を見たい。


posted by マキティ at 00:02| Comment(14) | TrackBack(0) | 安藤美姫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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